研究課題
タイ肝吸虫Opisthorchis viverrini感染は肝内胆管細胞がんをもたらすが、いまだ発がん予防法は確立されていない。タイ肝吸虫は慢性炎症を介して肝内胆管細胞がんをひき起こす。感染・炎症関連発がんでは、炎症細胞や上皮細胞から生成される活性酸素・窒素種によるDNA損傷が重要な役割を果たすと考えられる。8-ニトログアニンは炎症条件下で生成する変異誘発性DNA損傷塩基である。タイ肝吸虫感染による肝内胆管細胞がんは、アルブミンを発現する肝細胞がんと、サイトケラチン19を発現する胆管細胞がんの、両方の性質をあわせもっていることを示した。また、幹細胞マーカーであるCD133とOV6、CK-19、およびDNA損傷塩基である8-oxodGと8-ニトログアニンの局在が一致していることを示した。さらに、CD133およびCK-19の発現と、肝内胆管細胞がん患者の予後との相関性が認められたことは興味深い。また二次元電気泳動-発現差解析により、ヒト胆管癌組織におけるタンパク質酸化修飾のターゲットとしてトランスフェリン、HSP-70、A1ATが判明したことから、現在ホットスポットの解析をLC-MS/MSを用いて進めているところである。
すべて 2010 2009
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