研究課題/領域番号 |
21406019
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
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研究分担者 |
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
平工 雄介 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30324510)
鎮西 康雄 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (60024709)
井上 純子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (20378657)
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (80511914)
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キーワード | DNA損傷 / 感染 / 炎症 / がん予防 / 酸化ストレス / 胆管癌 / 肝吸虫 |
研究概要 |
タイ肝吸虫Opisthorchis viverriniは、主にタイ国メコン川流域で見られる寄生虫の一つであり、感染すると肝内胆管細胞がんを起こす原因となることが知られている。肝吸虫の持続感染による慢性炎症が、発がんに関与すると考えられている。 タイ国コンケーン大学の共同研究者の協力を得て、胆管細胞がんの患者から採取した組織標本を用いて解析を行った。癌組織と周辺正常組織を比較し、胆管癌で特徴的に酸化損傷を受けているタンパク質を探索した。その結果、alpha 1-antitrypsin(AAT)やトランスフェリンなど13種のタンパク質が、ヒト肝内胆管癌組織におけるタンパク酸化修飾のターゲットとして見つかった。さらに質量分析装置 LC-MALDI-TOF/TOFによる解析結果から、AATが酵素として働くための活性中心にあるアミノ酸の1つにカルボニル化が認められた。以前からAATの遺伝子異常により肺気腫や肝臓疾患を引き起こすことは知られていたが、本研究では肝内胆管癌の進展や転移に重要な役割を果たすことが示唆された。またトランスフェリンなど鉄結合性のタンパク質は、カルボニル化されると局所における鉄の蓄積や放出に影響を及ぼし、鉄フェントン反応によって酸化ストレスを増加させる可能性がある。 今後は、これらのターゲットタンパク質を新規マーカーとし、DNA損傷マーカーである8-ニトログアニンを組み合わせて解析することにより、高精度な胆管細胞がんのリスク評価を行い、がん予防・診断法の確立をめざす。
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