研究課題
本研究は、われわれが発見したhereditary motor and sensory neuropathy with proximal dominancy(HMSN-P)の国際的な疫学調査およびその病態解明と治療法開発を目指すものである。本年度は、過去2年間の調査に引き続き、HMSN-Pに罹患した日系ブラジル人家系2家系の計10名に関して、サンパウロ大学Clinicas病院神経内科Marchiori教授の研究チームと連携して研究を行った。今年度は、同大学関連の遺伝子解析施設(RDO:Molecular biology lab))で遺伝子解析を行う体制を整えた。2011年8月5日には同大学でHMSN-Pに関する教育講演を行った。米国ウイスコンシン州のウイスコンシン医科大学神経内科Collins准教授よりHMSN-P類似の家系がいるとの連絡を受け、Collins准教授と現地調査(附属病院での診察および在宅訪問)を行い、HMSN-P類似の臨床症状を示すドイツ系家系(発症者は少なくとも4世代10名以上)を見いだした。この家系の発症者は、それまで「Charcot-Marie-Tooth病」あるいは「Friedreich ataxia」と診断されていたが、詳細な検討は全く行われていなかった。現在、遺伝子解析を含む詳細な調査を継続している。今回の調査にて、ブラジルの神経内科学グループに加えて、新たにウイスコンシン医科大学神経内科学グループとの共同研究を進めることが出来たことは、HMSN-Pを含む遺伝性ニューロパチーの研究発展に大いに寄与したと考える。韓国においてもHMSN-P類似家系があるとの情報を得ているが詳細な調査は行われていない。今後、韓国における調査を予定している。国内においてはHMSN-Pの新たな剖検例を共同研究者が報告し、家族性ALS類似の病態を明らかにした。
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