研究課題
一次スクリーニング合計2,222検体の臍帯血及び母体血を採取し、母子感染を起こす下記の病原体についてウイルス学的に解析した。出生時に先天性感染を疑う明らかな異常が認めた児はいなかった。母親の平均年齢は28.4歳(14~46歳)だった。・臍帯血2,213検体中、13例(0.58%)がreal-time PCRでCMV-DNA陽性であり、先天性CMV感染児と判明した。またCMV-IgGは99.9%で陽性で、妊孕年齢までに殆ど全ての女性が既感染であることも判明した。・調査期間中に当該地域に風疹の流行は認められなかったが、3例(0.14%)が風疹IgM陽性で、先天性風疹感染児と判明した。また風疹IgGの陽性率は70.5%で、約3割に妊婦は感受性を持っていた。・臍帯血中にTTV DNAが検出された児は約5%であった。・母体血中、HBs抗原陽性のB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアが12.9%、HBs抗原陰性/HBs抗体陽性の既感染者が44.7%見つかり、大半の妊婦がHBV既感染と判明した。HBs抗原陽性者の40%がHBe抗原陽性者だった。二次スクリーニング(2歳時迫跡調査)出生コホートとして登録した2,222名の児を対象に、2歳になった時点で身体計測、発達評価、採血(HBV血清学的検査など)、さらにハイリスク児や先天性感染児に対しては聴力検査(AABR)や心臓超音波検査を実施している(2011年5月より開始し、2012年5月に終了予定)。これまでに採取された検体でのHBs抗原検査では約2%が陽性で、ワクチンによる予防策にもかかわらずキャリア化した児が多かった。先天性風疹症候群の臨床疫学調査調査地域に2011年はじめ風疹が流行し、同年終わり頃から先天性風疹疑いの新生児の出生が相次いだため、その疫学と臨床を調査している。現時点までに24名の先天性風疹児を認め、心臓超音波検査で約7割にPDAを中心とする心大血管奇形を認め、ほぼ全例でAABR異常を認めた。
すべて 2011
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