本研究の目的は、日本人とコーカソイドの閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome;OSAS)患者の顎顔面形態比較により、日本人OSASに特徴的なリスク要因を解明し、その要因に基づくOSASスクリーニング指標を立案することである。22年度当初に、海外研究協力機関であるブリティッシュコロンビア大学(UBC;カナダ)の共同研究者と中間ミーティングを開催し、日本人およびコーカソイドOSAS有効症例のサンプリング状況や中間結果について協議・確認を行った。21年度に引き続き、それぞれの人種のOSAS症例の(ア)患者基礎データ(年齢、性別、肥満度、無呼吸低呼吸指数、その他特記事項)、(イ)セファログラム解析データ、(ウ)治療と予後に関する情報、の3点につきデータベース化をUBCおよび神経研究所において進める一方で、(イ)セファログラム分析を開始した。研究協力者によって行われたセファログラムトレースの有効性を研究代表者と1名の連携研究者が確認後、開発したソフトウェアを用いて別の研究協力者がセファログラム解析を行い、その結果をさらに別の研究協力者がデータベースへ入力するという流れを確立し、データベースを構築した。現時点では、(1)日本人OSASがコーカソイドOSASに比較して小下顎であるとはいえないこと、(2)人種に関わらず解剖学的バランス(上下顎の大きさに対する舌の大きさ)に不調和がみられることが明らかとなり、次年度も引き続き調査を継続する。21年度に生じたH1N1インフルエンザ流行による渡航自粛と、海外研究協力者の代替者確保のために6ヵ月の遅延は、本年度の活動により十分に取り戻すことができた。
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