本研究の目的は、日本人とコーカソイドの閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome;OSAS)患者の顎顔面形態比較により、日本人OSASに特徴的なリスク要因を解明し、その要因に基づくOSASスクリーニング指標を立案することである。23年度当初に、海外研究協力機関であるブリティッシュコロンビア大学(UBC;カナダ)の共同研究者と中間ミーティングを6月のアメリカ睡眠歯科学会時に開催し、日本人およびコーカソイドOSAS有効症例のデータ解析状況や中間結果について協議・確認を行った。 その結果、(1)日本人OSASがコーカソイドOSASに比較して小下顎であるとはいえないこと、(2)人種に関わらず解剖学的バランス(上下顎の大きさに対する舌の大きさ)に不調和がみられることが明らかとなった。さらに、これらの新規的治知見を、2011年10月に開催された国際学術会議Worldslep2011にて報告した。ブリティッシュコロンビア大学側からProf.Alan LoweおよびAssist.Prof.Fernanda Almeidaを、さらに本研究分野に明るい生理学者であるProf.John Remmersを演者として招聘し、神経研究所が主催した研究成果報告会では、国内外の研究者を交え意見交換を重ね、今後の研究展開について十分なディスカッションができた。 以降は主に、得られた知見に基づく学術論文作成に関する討議をブリテイッシュコロンビア側とインターネットを用いて行ってきた。また、これまでに独自に作成使用してきたレントゲン解析ソフトに追加機能を付与することでOSAS臨床における応用が容易となることも明らかとなり、この方面での改良も重ねた。
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