研究概要 |
インターネットのルート制御,Webでの情報圧縮,VLSI設計,並列計算のタスクスケジュリング,電力制御,略地図作成等のいろいろな分野で現れる問題が,点とそれらを結ぶ辺からなるグラフの問題として定式化できる. 本研究では,グラフ問題の中でも特に重要な,グラフの分割,彩色,描画問題に的を絞り,それらの最適解を求めるアルゴリズムや近似解を求めるアルゴリズムなどを開発するとともに,具体的な現実問題への展開を図った. まず分割では,木に関する需要・供給分割問題で辺に向きと重みがある場合に対し,擬多項式時間アルゴリズムを与えるとともに,多項式時間完全近似スキーム(FPTAS)を与えた. 次に彩色では,木のコスト辺彩色問題は新しく作られた二部グラフの完全マッチング問題に帰着できることを示して,効率のよいアルゴリズムを与えた. 最後に描画については,内部3連結平面グラフでその分解木に葉が4枚ある場合に対し,2n x 4nの大きさの格子凸描画を求める線形時間アルゴリズムを与えて,従来の大きさを大幅に改善した.なお格子凸描画とは,すべての面が凸多角形になるように,グラフの点を平面格子点に配置したものである.
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