研究課題/領域番号 |
21500001
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西関 隆夫 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80005545)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アルゴリズム / グラフ分割 / グラフ彩色 / グラフ描画 |
研究概要 |
まず,グラフの分割に関しては,需要点と供給点及びコスト付き有向辺からなる木を分割し,各部分木には供給点が1つだけあり,その供給量はその部分木の需要量以上であり,しかもその部分木を供給点を根とする有効根付き木になるように元々の辺の向き変更するコストの合計を最小化する問題に対し完全多項式時間近似スキームを与えた.この結果は電力配電計画問題に利用できる. 次にグラフの彩色に関しては,点彩色の一般化である帯域幅連続多重彩色問題を木幅が限定されたグラフに対して解く完全多項式時間近似スキームを与えた.点や辺に非負整数重みが付いているグラフが与えられたときに,各点vに点重み個の連続した整数を色として割り当て,各辺 (u, v) の端点uとvに割り当てられた整数はその辺の重み以上離れているようにし,しかも用いる最大の整数をできるだけ小さくする問題である.この結果は周波数割り当て問題やスケジュリング問題に利用できる. また,グラフの描画に関しては,バランスよく二分割できるグラフは,小さい二次元格子上に直線描画できることを示した.更に,n点からなる直並列グラフは (2n/3) × (2n/3) 格子や面積0.394nxnの格子に直線描画できることを示した.この結果はグラフ可視化に応用できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画にあげた「グラフの分割,彩色,描画」各々の分野で新しい結果を与え,それらの成果を国際会議及び学術論文誌で発表するという今年度の目標を達成できている. とりわけ,今年度は本研究4年目を迎え,研究成果のより具体的な問題への応用を重視したが,今年度開発に成功した,グラフ問題の中でも特に重要な,分割,彩色,描画を解くアルゴリズムは,どれも実問題への応用が期待され,今年度の目標を順調に達成できている. 「分割」の領域で開発したアルゴリズムは,「電力配電計画問題」への利用が可能であり,「彩色」の領域で開発したアルゴリズムは,「周波数割り当て問題やスケジュリング問題」,「描画」のアルゴリズムは,「グラフ可視化問題」に応用できる.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,本研究の最終年であり,下記のそれぞれの領域でこれまでの研究成果の応用と充実化を図る. 1.需要・供給アルゴリズムのFPTASの一層の高速化. 2.均等分割アルゴリズムの負荷分散問題や選挙区割り問題への応用化と更なる効率化. 3.リスト辺彩色や最小コスト彩色アルゴリズムのさまざまな実問題への応用とより広いクラスのグラフに適用できるようなアルゴリズムの拡張. これら得られたアルゴルズムの実用性を検証し,理論的・実証的成果を論文としてまとめ,国際会議などで発表及び国際学術論文に投稿する.
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