研究概要 |
・グラフのデカルト積に対する木幅の下界: 2つのグラフA,BのHadwiger数とPI数と呼ばれる2種類のグラフパラメータから、AとBのデカルト積の木幅の下界に対する計算式を与えた。本研究結果は、木幅の双対概念であるbrambleを実際に構築することで得られ、その意味において、研究目的にある"木幅とbramble数の双対性に着目した研究"という方針に沿って得られた研究結果と言える。 ・木幅と最小フィルインを求める動的計画法の再考: 1990年代後半に、BouchitteとTodincaにより提案された、極小セパレータのリストと潜在的極大クリークのリストを入力とする、木幅と最小フィルインを求める動的計画法が紹介されたが、本研究では、その動的計画法を再考し、木幅や最小フィルイン以外の(極小三角化で表現可能な)グラフパラメータにも適応可能なことを示した。 ・AT-freeグラフに対する距離パス幅の近似アルゴリズム: AT-freeグラフとは鎖型構造を持つグラフクラスである。AT-freeグラフに対してバンド幅と呼ばれるグラフパラメータの定数近似アルゴリズムが既に知られているが、本研究では、バンド幅(およびパス幅)と深く関係する距離パス幅と呼ばれるグラフパラメータに関しても、AT-freeグラフに対して定数近似アルゴリズムが存在することを示した。
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