本年度(~平成23年3月31日)では: (1)初年度の理論的研究結果および実験結果を基に、tree-widthやbranch-widthに対する新規アルゴリズムの開発を本年度の目標としてきた。この目標に向かって研究を進める中で、副産物的に、別の類似するlinear-carving-widthと呼ぶ幅系パラメータに対する双対性を示すことが出来た。この双対性に着目することで、linear-carving-widthに対する新しい厳密・近似アルゴリズムの開発が期待できる。またこの双対性をより深く考察することは、本来目的としているtree-widthやbranch-widthに対する新規アルゴリズムの基本原理の理解に寄与すると考える。 (2)Path-distance-widthと呼ぶ幅系パラメータに対し、入力グラフをAT-freeなどの幾つかのグラフクラスに限定することで、定数近似アルゴリズムを昨年度示したが、本年度ではそれらの研究結果の改善を行い、NP困難性などの新たな研究結果が得ることができた。ある制限されたグラフクラスに対してNP困難性が示せたことは、path-distance-widthが本質的に持つ計算困難性を示したことを意味し、意義がある結果と考える。
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