研究概要 |
本年度は、パラメータ化グラフ上の頂点彩色問題および、グラフ同型性判定問題について研究を行った,頂点彩色問題については、第一に、比較可能グラフから高々k本の辺を除去して得られるグラフの族である、比較可能-keグラフについて、その計算困難性と多項式時間計算可能となる条件等を明らかにした。比較可能-1eグラフに対し七は多項式時間で頂点彩色問題を解けることが既に示されていたが、本研究ではk≧2のときNP完全となることを証明した。さらに、比較可能-keグラフの頂点彩色において、その計算複雑さが、対応する比較可能グラフのハッセ図上の最大独立辺集合のサイズに依存することを明らかにした。具体的には、独立辺集合のサイズがlog n^<0(1)>/kであるときf(k)n^<0(1)>時間で解くことができ、その一方、独立辺集合のサイズがlog n^<ω(1)>/kの場合にはexponential time hypothesisを仮定したときf(k)n^<0(1)>時間で解くことができないことを証明した。 第二に、置換グラフに辺を追加・削除した置換+ke,-keグラフの頂点彩色問題を扱い、置換-keグラフの場合は、O(2^k(k^2+n^2>)時間で解くアルゴリズムを示し、fixd parameter tractableとなることを示した。置換+keグラフに対してはk=1のとき多項式時間で解けることを示した。 グラフ同型性判定問題に関しては、木+keグラフの同型性判定がfixed parameter tractableとなることを示した。木+keグラフはfeedback vertex setのサイズがkのグラフに含まれるためfixed parameter tractableとなることは知られているが、限られたグラフに対してはそれより高速に解くことができることを明らかにした。
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