研究課題
本年度は、前年度に続き、複数エージェントが相互に作用する分散環境におけるLocality Sensitive Hashing(LSH)という類似検索アルゴリズムの効率的実現という課題に取り組んだ。LSHは、複数のハッシュテーブルを用いており、検索の際に複数ハッシュテーブルの複数バケツを探索する。我々の提案手法では、探索されるバケツ群がなるべく同じノード上に配置されるように工夫し、一度のリモートアクセスで多くのバケツを探索することで通信回数を削減して探索性能を向上する。具体的には、バケツがユークリッド空間の分割により生成されるセルであることに着目し、重心座標が近いバケツを(どのハッシュテーブルに属するかは考慮せずに)同一ノードに配置する。前年度中にシミュレーションにより提案手法が通信回数を削減できることまで確認していた。今年度は、提案手法を6台のPCで構成されたPCクラスタ上に実装し性能評価を行った。そして、提案手法を単純な実装法と比較し、提案手法が探索応答時間を9~18%短縮できることを確認した。提案手法では探索を少ない通信回数で実行できるため、通信遅延が大きいノード間の通信回数が削減されて、応答時間が短縮される。従来のP2Pに代表される分散システムにおける検索はファイル名とファイル生成時間などを検索キーとして用いて、同一ファイル検索を目的とする技術が多い。これに対し、提案手法はコンテンツに基づいた類似ファイルの高速検索を実現するものであり、たとえば似た画像・音楽ファイルを検索する基盤技術となりえる。上記の研究成果を、電子情報通信学会データ工学研究および、国際会議IEEE AINA(採択率30%)で成果発表を行った。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
信学技報
巻: DE2011-40 ページ: 1-6
Proc.26th IEEE International Conference on Advanced Information Networking and Applications
巻: (IEEE Computer Society) ページ: 175-182