研究概要 |
本年度は本研究課題の最終年度であり,昨年までと同様に超低機能端末群による分散システムとして自律移動ロボット分散システムに注目しつつ,自己安定システムの持つ本質的問題を明らかにするために分散ネットワーク上での自己安定アルゴリズムについての研究を引き続き実施しながら,研究の論文化を行った.また,本研究テーマの既定路線以外に,研究対象である自律移動端末の応用に相当する,自律移動端末によるネットワークシステム上に通信基盤を構築するための基盤技術の開発にも目を向け,既存技術の調査と新たな技術の開発を行った. まず,昨年度までに明らかにした,自律移動端末の持つコンパスの故障の程度と,そのモデルにおける一点集合問題の可解性に関する成果を論文化し投稿した.結果,採録され,論文として主パンされた.さらに,端末数が4の場合の完全非同期モデル(CORDAモデル)における円形成問題にもチャレンジし,アルゴリズムはほぼ完成したものの,理論的証明が未完のままである. 一方,自律移動端末によるネットワークシステム上で,「特定の場所」に対する通信手法であるジオキャストを実現するための自己安定アルゴリズムについて研究を進め,その結果,既存のアルゴリズムであるGeoTORAよりもメッセージの到達性が優れたアルゴリズムを開発し,研究発表を行った.また,同ネットワーク上でマルチキャストを実現する自己安定アルゴリズムも開発し,今後発表を行う予定である.
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