研究概要 |
移動能力を有するエンティティ(モバイル計算粒子(Mobile Computational Particle : MCP)と呼び,MCPと略記する)から構成される分散システムの特徴を,システムの規模,機器の計算能力,機器の移動能力,通信能力の多様性,システムの不確実性の観点から分析し,自律的分散ロボット群,創発現象,分子計算までを包括するモバイル計算粒子を要素とする分散システムに内包する本質的な特性を解明し,モバイルネットワークとして統一的な取扱いを可能とするモデル化を目的とする.そしてそのモデル化を利用して,モバイルネットワークの理論的計算限界を明らかにするとともに,個々の分散システムにおいて構築したモデルで見直すことによって,従来の未解決問題に対する新たな視点を与えること及び,新たな問題の創造の可能性を実証することを目的とする.最終年度も,個体群プロトコルと自律分散ロボット群の性質を明らかにした.主な結果は以下のとおりである. (1)コンパスにエラーを含む2台の自律分散ロボットにおいて,1点集合問題の可解性とコンパスエラーとの関係を明らかにした. (2)ロボットの視界が実際と異なるような故障モデルに対して,従来のモデルよりもより現実性のあるように修正したモデルでも1点集合問題は非可解であること,及び1点集合問題を弱めた1点集合問題に対するアルゴリズムを与えた.
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