研究概要 |
FPGA(Field Programmable GateArray)とは,ユーザの設計した論理回路データをダウンロードすることにより,内部回路を定義・変更することができる集積回路である.FPGAには,LUT(ルックアップテーブル),フリップフロップ,ブロックRAM,乗算器,などの組込み回路が大量(数千~数十万程度)に分散配置されており,それらの初期データとプログラマブル配線を設定することにより,任意の論理回路を埋め込むことができる.本研究の目的は,この上FPGAのアーキテクチャをさまざまなレベルで抽象化したFPGAモデルを提案し,そのモデル上でさまざまな問題を解く効率よいハードウェアアルゴリズムを設計することである.今年度は我々がFDFM(Few DSP blocks and Fewmemory blocks)アプローチと呼ぶ新しいFPGAの設計手法を提案し、それをFPGAに実装して実用的であることを示した。最近のFPGAには、加算・乗算を高速に行うDSPブロックと高速アクセスが可能なブロックRAMを数多く搭載している。これらDSPブロックとブロックRAMをいかに活用するかというのが、FPGA設計の鍵となっている。我々が提案するFDFMアプローチとは、少数のDSPブロックとブロックRAMを用いて、複雑な計算をするコプロセッサを組み込むという考え方である。この方法により複雑な計算が少ないリソースで行うことができ、また高スループットが必要な場合はこのコプロセッサを大量に並べるということも可能であり、フレキシブルな設計が可能となる。今年度は、暗号化やニューラルネットワークの計算処理をFDFMアプローチで実装し、ほぼ最適な性能が得られた。
|