研究概要 |
グラフのキューレイアウトは頂点の順序付けと辺のキューへの割り当て,ただし同一キューに割り当てられた辺は入れ子にならない,により定義され,グラフGのキューレイアウトに必要なキューの最小数をGのキューナンバーという.グラフのキューレイアウトは耐故障性を考慮した計算やグラフの3次元描画に応用をもつことが知られており,これまでに様々なグラフのクラスに対してキューナンバーの上界が調べられている.特に,平面グラフのキューナンバーの上界が定数で抑えられるかどうかはキューレイアウトに関する最も有名な未解決問題であり,2010年のFOCS(理論計算機科学分野における最も権威のある国際会議の一つ)で0(log^4 n)の上界の結果が報告されている.また,アルゴリズム的な観点からは,キューナンバーが1のグラフの認識問題はNP完全であること,平面グラフのキューナンバーを計算する問題はNP困難であることが知られている. 本研究では,極大外平面グラフという,平面グラフの部分クラスに限定した場合には,キューナンバーの計算が線形時間で可能であることを示した.すなわち,極大外平面グラフのキューナンバーを計算する線形時間アルゴリズムを設計した.これまでにグラフクラスに対するキューナンバーを計算する多項式時間アルゴリズムは著者の知る限り,示されておらず,極大外平面グラフという制約の強いクラスではあるが,線形時間でキューナンバーが計算できるということを示したことは意義のあることと考えられる.また,本研究で設計した線形時間アルゴリズムの中心となる部分は,有限オートマトンで記述でき非常にシンプルである.
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