研究概要 |
本研究は,ネットワークにおける最適化問題,特に最短経路を求める問題,ネットワークや空間における施設配置問題などのような従来から研究が行われていたネットワークにおける問題に対して,最適化問題の新しい枠組みを提案し,その理論の整備と実際の地理情報システム(GIS)におけるデータを用いて理論の検証を行い,また,従来の最適化問題をGISデータに適用する際に現れる新しい問題の定式化とその解法に関する研究を行うことを目的としている. 初年度は,複数の異なる種類のGISデータを同時に扱うための効率的なデータ構造の構築,実データを用いた最適化問題の解法の開発,制御不能流の理論,特に最小極大流に関する性質の解明の3つに焦点をあてて,研究を行ってきた.GIS用の効率的なデータ構造の構築に関しては,現在実用的に使われているものと研究用のものの比較を行い,問題点の洗い出しを行っているところである.最適化問題の解法に関しては,集団下校のグループ分けと下校経路決定に対して階層型施設配置問題の手法を用いた解法や静脈物流を考慮した配送計画問題に関する研究を行ってきた.また,制御不能流においては,最小極大流問題に関連する問題である,最小極大マッチング問題に対する最大次数のみに依存する近似アルゴリズムの提案,地図の外にあるラベルと地図内の点を引出し線を用いて対応させるという新しいラベル配置問題における最適化問題に関する研究を行ってきた.得られた結果の一部は研究会等で発表を行い,最小極大マッチング問題の近似アルゴリズムは論文として投稿準備中である.
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