研究課題/領域番号 |
21500026
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
関川 浩 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (00396178)
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研究分担者 |
白柳 潔 東海大学, 理学部, 教授 (80396176)
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キーワード | 多項式 / 誤差 / 近似 / 数値数式融合計算 / 安定化理論 / 整除性 / グレブナ基底 |
研究概要 |
本年度の成果は以下の三点である。(1)基本的な問題である多項式の整除性判定について、係数に誤差のある場合に新しい手法を提案した。係数に誤差のある実係数多項式p、fを、係数の誤差範囲を区間で表した実区間多項式P、Fで表すこととし、Pに含まれる多項式q、Fに含まれる多項式gが存在してqがgで割り切れることをもってpがfで割り切れる、と解釈し、区間解析を基にした反復アルゴリズムを用いる整除性判定手法を提案した。(2)重要な問題である近似因数分解に利用可能な、与えられた因子を持つ多項式列の性質を解明した。多項式fのEuclidノルムを||f||で表し、多項式f、g間の距離を||f-g||で定義する。pとf_0を与えられた実係数多項式、ただし、||f_0||=1とする。p_1=f_0g_1を、f_0を因子とするpに一番近い多項式、p_2=c_1f_1g_1を、g_1を因子とするpに一番近い多項式、ただし、||f_1||=1かつc_1>0、p_3=f_1g_2を、f_1を因子とするpに一番近い多項式、…としたとき、多項式列{p_j}、{f_j}、{g_j}、数列{c_j}の性質を解明した。この性質は、pに近く因数分解可能な多項式を求める問題、すなわち、近似因数分解を求める問題に利用可能である。(3)本研究における主要な計算手段である安定化理論について、新しい利用法を提案した。区間係数に、計算履歴を記録するシンボルを追加したInterval with Symbol(IS)を係数としたデータに対し安定化理論を適用、ゼロ書換えの正しさをISによって確かめながらアルゴリズムを実行し、最後にISのシンボルを用いて正確な出力を得る手法(ISCZ法)を提案し、グレブナ基底計算について実験を行った。さらに、どのような問題に対しISCZ法が有効となるか確かめるため、いくつかの指標を提案し、実験を行った。
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