研究概要 |
多くのソフトウェアの開発が,要求の変更,および要求の追加によって失敗している. この問題を解決するために,開発を進めながら要求を獲得するための定量的な指標の提案を行い,要求獲得プロセスの計画,監視,および評価の方法を提案することを目指した.本研究で開発したPRINCEモデルは,要求獲得プロセスの計画概念を表すモデルである.PRINCEモデルを実プロジェクトの要求獲得計画散る案および監視と制御に適用するために,平成23年度の本研究で,3つの観察軸に基づく分析空間を定義した.このうち,要求の安定性および要求源泉に対するアクセス容易性の二軸に対して定量尺度を定義し,実プロジェクトから得たデータに基づき共分散分析を行い,要求成熟時期を推定する計算式を求めた. また,実プロジェクトの観測結果と成果に基づき,ソフトウェアコンポーネント毎の成熟型を推定するための意思決定木を開発した. 要求獲得プロセスを推定するための意思決定木,および定量尺度は,プロジェクトの開始時期に推定することが可能なデータに基づいて適用することができる.すなわち,本研究によって,プロジェクト管理者が,要求獲得を計画するために考慮しなければならない事項である要求種別毎の要求成熟時期を推定する方法を開発することができた.これによって,要求の獲得計画の立案が可能となった.平成23年度のもうひとつの課題である要求獲得計画支援システムとして,要求獲得プロセスを観測するためシステムを設計し,開発を行った.このシステムは,要求仕様書に示された用語毎に要求種別を集計することが可能であるが,適用には,用語辞書が必要である.
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