研究概要 |
・「追記型・文字粒度の追跡子」のための文字エンコーディング方式のプロトタイプ試作 平成21年度は文字符号化方式の標準であるISO/IEC 2022(いわゆるISO-2022)を用いて,「追記型・文字粒度の追跡子」のための文字エンコーディング方式の検討・設計を行った.平成22年度はこの実装方法とは異なり,Unicodeを用いたアプリケーションレベルでの「追記型・文字粒度の追跡子」の実現方法を検討し,プロトタイプを試作した.これは「追記型・文字粒度の追跡子」の実現方法自体が複数あり,どの実現方法がソフトウェア工学的に良い性質を持つかが自明ではなく,プロトタイプ試作によって比較検討する必要があるためである. 具体的にはUnicodeの第14面に配置されている言語タグ(RFC2482, RFC6082)を文脈性を廃止した形で追跡子として利用することにした.エディタなどのアプリケーションレベルでの実装となるが,Unicode文字単位で追跡子か否かが判定可能な点で実装が容易であること,Unicodeという同一のエンコーディングで複数言語を自然にサポートできるという大きな利点がある.ただし,簡単のため,ASCIIコードをU+E0000~U+E00FFにマップして追跡子とすることにしたため,追跡子内で使用できるのはASCIIコードのみとなる. 以上の方式で,Java Swing上に「追記型・文字粒度の追跡子」の機能を含んだ簡易エディタを試作した.これには,細粒度で高精度に追跡性を確保し,ソフトウェアの保守性を大幅に向上させるという最終目的に対して,重要な基盤となる成果である.
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