研究課題/領域番号 |
21500033
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
権藤 克彦 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (50262283)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 追跡性 / 追記式 / 文字粒度 / ソフトウェア保守 |
研究概要 |
「追記型・文字粒度の追跡子」の実装をEmacsのマイナーモードとして実装した.平成23年度までにUnicodeの第14面の言語タグを用いたプロトタイプ実装を行い,平成24年度にEclipseプラグインとして洗練・統合する予定だったが,実装上の困難さがあったため,Emacs上で動作するマイナーモードとして再実装を行った.この実装は言語タグ文字の入力,可視化・不可視化の制御なども可能となっており,実装規模はEmacs Lispで約300行程度とコンパクトに実装できることを確認した. また,追跡性リンクの有用性を示すための事例集として,厳格なアンサーセットで構成する追跡性リンクの事例集作成を行った.ドキュメント理解の困難さ,膨大さ,分散性,頻繁な改訂などの観点から,対象として日本の税法を選択した.法人税,所得税,消費税の3法を対象に,独立した30個のソースコード(それぞれ約100行程度)を作成し,税法への追跡性リンクをコメントとして細粒度に付した.開発者の意図により正解・不正解が異なるリンクが多くあること,追跡性リンクの埋め込み自体に大きなコストがかかるが,細粒度に埋め込めたこと,埋め込んだ追跡性リンクの有用性を期待できることなどを確認した. また本研究では「追記型・文字粒度の追跡子」のリンク追跡・矛盾検知に関する研究成果として,「ネイティブアセンブリコードを出力する教育用コンパイラ (XCC)と,水平スライスが可能な可視化ツール (MieruCompiler)」と「GPUを利用したポインタ解析の実装と評価」の研究成果をあげた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「追記型・文字粒度の追跡子」の実現方法として,当初予定したEclipseプラグインとしての実装ではなく,Emacsマイナーモードとしてコンパクトな実装を与えることができた.また,この実装の応用事例となる有用な事例集を構築できた.このため,研究の目的をおおむね順調に進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
「追記型・文字粒度の追跡子」の過去4年間の研究成果を総括する.ハッシュ値を用いた追跡性リンクの矛盾検知方式,Unicodeの第14面の言語タグを処理できるEmacsマイナーモード実装を研究成果としてまとめる.また追跡性リンクを編集時に自動的に埋め込む機能(tracer-carrying code)の研究開発も目指す.
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