研究課題
本年度は研究全体を取りまとめた.本研究の目的は,追記型・文字粒度の追跡子データを用いて,ソフトウェア追跡性の高精度な確保をすることであった.研究のポイントは次の4つであった:・特別な文字エンコーディング方式を開発してplain text中の各文字に追跡情報を埋め込み可能にする,・追跡子情報としては,識別番号,URL,作成者氏名などを追記方式で書き込む.削除や修正は不可,・追跡子情報は,通常は不可視にする.これにより可読性が落ちる問題を回避する,・追跡子情報は,最初だけユーザが手動で入力する.文字を修正しても追跡情報が残るので,変更・派生時に大部分の手動の保守が不要になる.このような追跡子として,本研究では様々な方法を比較検討した結果,Unicodeの第14面の言語タグの使用が追跡子として最も適切であるという結論に達した.既存の文字エンコーディング方式を利用しつつ,他の目的に使われないことが事実上保証されていること,グリフが割り当てられてないため,多くの実装で自然に不可視な文字となることがその主な理由である.また,この方式の有用性を確認するために「追記型・文字粒度の追跡子」の実装をEmacsのマイナーモードとして昨年度,実装した.今年度はこれらの成果を統括し,プログラムのハッシュ値を追跡子の値とする手法を考案した.解析的手法では人間の意図は解析できないため精度が悪いが,本手法のハッシュ値では1文字でも異なれば事実上確実に異なるハッシュ値となり高精度化が可能である.また,コピー&ペーストに付随したリンク自動挿入が可能なため,ハッシュ値の追跡子は挿入・保守のコストも安い.また本年度は本研究の「追記型・文字粒度の追跡子」のリンク追跡・矛盾検知に関する研究成果として,「整数オーバーフローの未定義動作検出に対する整数境界値の定量的評価」の研究成果もあげた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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コンピュータソフトウェア(レター論文)
巻: vol.31, no.1 ページ: 103-109