研究概要 |
本研究は,情報表示の手段としてのグラフ描画アルゴリズムの有効性を向上させるため,以下の三つの課題に対して有効なアルゴリズムを開発することを目的としている. 課題A:頂点の大まかな位置が指定されたグラフの描画アルゴリズムの設計 課題B:非連結グラフの描画アルゴリズムの設計 課題C:頂点の形状とサイズが指定されたときのグラフ描画アルゴリズムの設計 平成21年度に得た主な成果は以下のとおりである. 1.課題Aに関して,本研究者のグループは,グラフの直線描画が与えられたとき,それにおける頂点の相対的位置関係を保存した直交描画を作成する方法を開発中であったが,本年度は,この方法のいくつかの部分の処理の簡単化を行い,さらに,描画中の道の形状を単純化するための新しい処理を加えた.そして,本アルゴリズムが比較的小規模なデフォルメ路線図の作成に応用できることを計算機実験により示した. 2.課題Bに対する第一段階として,力指向アプローチによる描画アルゴリズムを設計した.提案手法は,与えられたグラフの各連結成分の描画を求めた後,それらを平面上に配置するものである.近くにある連結成分の描画間の距離がなるべく一定になるような工夫をしており,連結成分の個数が比較的少ない場合には,描画面積の小さい良好な描画が得られることを実験により確認した. 3.各頂点を小さな軸平行長方形としたときの課題Cに対する解法の基礎として,グラフ描画に対する新しい頂点ラベル配置法を開発した.これは,頂点を点で表した描面と,各頂点に対するラベルサイズが与えられたときに,頂点とラベルの重なりを許しながらできるだけ多くのラベルを配置しようとするものである.
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