研究概要 |
本研究では,MPI等のメッセージ交換型の通信ライブラリの上位ミドルウェア層として「シミュレーション・アプリケーション相互の間のデータ変換」を有する機能を構築し,従来アプリケーションコード内で顕にコーディングされてきたデータ交換と変換が渾然一体となったプログラミング環境を改め,シミュレーションコード自体の独立性・保守性を最大限に保ったまま,きわめて可塑性に富んだ連成シミュレーションコード開発環境をコード開発者に提供することを目的とする. 本年度はシミュレーション・アプリケーション相互の間のデータ変換の代表例として,粒子モデルと連続体モデルをとりあげ,相互の境界面において離散化手法の異なる二つのアプリケーションを連成させるための機能をミドルウェアとして開発し実際に当研究室で開発中の分子動力学(MD)プログラムと有限要素法(FEM)に基づく構造解析プログラムの連成シミュレーションを実施した. 粒子モデルにおける粒子座標と離散モデルにおける格子点の相関を,球内相関,近傍平均相関,最近接相関,等の連成計算の目的に合わせた各種の相関平均の機能をミドルウェアのAPIとして提供することにより,シミュレーションコード自体の独立性を保ったまま高性能MD-FEMの連成計算が容易に行えることが解った.
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