研究課題/領域番号 |
21500038
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青柳 睦 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (00260026)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 連成計算 / ミドルウェア / データ変換 / 粒子法 / 格子法 / QM法 / MM法 |
研究概要 |
本研究では,MPI等のメッセージ交換型の通信ライブラリの上位ミドルウェア層として「シミュレーション・アプリケーション相互の間のデータ変換」を有する機能を構築し,従来アプリケーションコード内で顕にコーディングされてきたデータ交換と変換が渾然一体となったプログラミング環境を改め,シミュレーションコード自体の独立性・保守性を最大限に保ったまま,きわめて可塑性に富んだ連成シミュレーションコード開発環境をコード開発者に提供することを目的とする. 本年度は昨年度に開発した相互連成させるためのミドルウェアの実地検証を行うため、QM法とMM法を結合連成させる当研究室で開発した分子クラスタ計算プログラムに当該ミドルウェアを組み込み,その機能と性能を評価した. 昨年度の実施の,粒子モデルにおける粒子座標と離散モデルにおける格子点の相関をミドルウェア側で実行した場合に比較し,QM法/MM法の結合シミュレーションコードによる粒子数N=数万以上の試験では,ミドルウェアのデータ変換部において性能の劣化が観測され,ミドルウェア自体のスレッド並列化(またはMPI並列化)が必要であることが解った.このため,最終年度に向けミドルウェア自身の高性能化を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連成ミドルウェアは,ほぼ完成し,現在3通りの連携・連成シミュレーション(実アプリ)を用いて,その機能と性能を検証・評価しており,研究はおおむね順調に進展している.最終年度にむけ,ミドルウェアの整備とデータ変換部の高性能化を行う必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
前年度と今年度(平成23年ー平成24年末)シミュレーションコードの離散化手法の違いを,ミドルウェア側でデータ変換する機能と性能を検証・評価した結果,複雑な座標変換を大規模な粒子系で行う際,性能に問題があることが判明したため,今後はミドルウェアのデータ変換部分のスレッド並列化(またはMPI並列化)を行う.また本研究では情報理学と計算物理の学際的な連携のアクティビティーをさらに活性化させることも狙っているため,研究最終年度である平成25年度は,代表者の回りの学際的な計算科学コミュニティーに,本ミドルウェアを実際に利用してもらい,評価を受ける計画である.
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