研究概要 |
研究の目的:大規模分散組込みシステムは多くのCPUや物理空間と制御を行うデバイスから構成されること,さらに大規模なネットワークシステムであることが特徴である.制御を行うデバイスには物理空間での物体,自動車や航空機を構成する部品,様々なハードウェアがある.一方,市場からは組込みシステムの開発コストの削減,より短期間での開発が要請されている.今後,より安全,より快適,環境に配慮したサービス提供のために,周辺車両も含めた多数のセンサーからデータ取得を行い,デバイスを制御することが必要となってくるため,組込みシステムは必然的にネットワーク化,分散化,大規模化してくる. 本研究の目的は,こうした大規模分散組込みシステムにおける高生産,高品質のソフトウェアの開発支援のために,CPUと制御対象デバイスのシミュレーション環境(本提案では環境シミュレータと呼ぶ)とこれらを統合させる分散プラットフォームの基盤技術の研究を行い開発することである. 実施内容: (1)CPUシミュレータの研究:高生産,高品質の組込みソフトウェア開発を支援するCPUシミュレータをQEMUをベースに開発する.QEMU自身は仮想マシンジェネレータである.QEMUを選択したのは,ARMやSHなど既に多くのCPUシミュレーション機能を有する汎用的な仮想実行環境であること,シミュレーションが命令変換方式であり高速実行が期待できることである.平成22年度はTCGと呼ばれる共通命令コードを利用したQEMUを使ったNEC製のV850のCPUシミュレータを試作し,その評価を行った.特に共通命令コードの有効性を検証した. (2)環境シミュレーション構築技術の研究:環壇シミュレータとして、制御システム設計で利用されているMATLAB/Simulinkをとりあげ、MATLAB/SimulihkとQEMUのCPUシミュレータとの結合方式を開発した。 (3)CPUシミュレータ、環境シミュレータを統合するプラットフォームとしてCORBAからWindows Communication Foundationを変更した。理由はインタネットを跨いだ分散プラットフォームを構築する必要があるからである。
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