本研究では、マイクロストレージネットワークをセンサネットワークと融合・連携させることによって、センサノードの台数によらないスケーラビリティを持つセンシングシステムの構築を可能にするための手法を開発することを目的としている。具体的には、複数のマイクロストレージによってセンシングデータを分散管理することにより、システムの柔軟性や耐故障性を実現する。また、リアルタイム性の高い検索・配信機能を実現するために、事前に必要なデータを他のマイクロストレージに転送するプロアクティブなデータ配信手法を開発する。これにより、各種アプリケーション及び利用者は、データが保存されているマイクロストレージの位置を意識することなく、効率のよいデータの検索・配信を行うことが可能となる。 本年度は、前年度に引き続いて、プロアクティブデータ管理機構の全体設計を見直した上で実装を進め、実機による実験とシミュレーションとの組み合わせによる性能評価を中心に行った。本管理機構は、どのようなデータがこれから要求されるかを予測するプロアクティブデータ予測部、予測したデータの配置位置を決定する配置部、予測したデータを所定の位置に転送し、またそのデータの検索を実現する転送・検索部の三つの部分から構成される。評価実験の結果、標準的なシナリオの元で提案した機構はデータの問い合せに対する応答性を向上させることが可能であることを確認した。また機構全体が正しく連係して動作し、システムとして実現可能であることを確認した。
|