研究概要 |
平成22年度では、STARCと共同開発したシミュレータFALCONの改良を行った。回路シミュレータにおける過渡解析は陰的数値積分法に基づいている。ここで、回路内に非線形素子が存在する場合にはニュートン法を用いる必要があり、各時刻では数回の連立方程式の解法が必要となる。一方、SiPの解析では高速な信号を対象とするため、過渡解析ではピコ秒オーダの時間刻み幅が採られる。ゆえに、解析の時間刻み幅の中ではLSIの非線形特性は急激には変化せず、陽的数値積分法が解析の予測として利用できる。この予測値を用いながら、FALCONの改良を行いLSIの非線形モデルへの対応を行った。 平成21年度の検討によって、SiPは疎なキャパシタンス、インダクタンス行列を用いてモデル化されたが、そのモデルは依然として大規模回路であり、解析には大きな計算コストが必要である。そこで、各演算の並列化を検討し、マルチコアCPUを搭載したワークステーション上に、その能力を活かした形でシミュレータの実装を行った。例題は、共同研究先であるSTARCを介して公にできるデータを選定・入手した。そして、前年度で開発した方法を用いてSiPのモデルを作成し、改良を行ったシミュレータで解析を行った。シミュレータの評価ため、VDECセンターを介して商用シミュレータを導入し,解析精度,演算効率に関する比較を行い、開発したシミュレータの優位性を確認した。 さらに、回路シミュレータを利用した最適化手法の提案も合わせて行った。
|