研究概要 |
プリント基板の解析のためのSiPの簡易モデルの作成について検討を行った。プリント基板の解析では,SiPなどの部品は可能な限り簡潔に表現する必要がある。一方、実態に合わないモデルを使用したのでは解析の意味がない。それゆえ、必要最低限の正確さは必要である。また,シミュレーションが発散することは問題となるので、モデルの安定性は必須である。この要求を満たす方法が、確率的平衡化打切り法である。本手法は許された精度の下で最小の次元でシステムを表現できる平衡化打切り法を基本とし,低次元化されたシステムの受動性(安定性)を保証した方法である。しかしながら、平衡化打ち切り法の導入によっては良好な近似精度を得ることができなかった。そこで、方向性を変え、SiPの簡易モデルを作成する際に必要となる平面回路を、インダクタンス、キャパシタンス、抵抗からなる等価回路で表現する方法を提案した。この等価回路は、マックスウェルの方程式の近似によって与えられ、平面回路の誘電体部をキャパシタと抵抗、導体部分をインダクタ、抵抗で表現したものである。様々な形状を有するパッケージに対応させるため、従来のグランドを定義するモデルからグランドを定義しないものに変更を行った。 さらに、23年度に開発を行った回路シミュレータの改良を行った。電磁界解析手法であるFDTD法を模した回路ベースFDTD法、連立方程式の高速ソルバであるGMRES,CGS、回路内に非線形素子が存在する場合に有効となるウッドベリの公式の導入を行い、従来と比較して大幅に演算効率を改善した。
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