研究概要 |
本研究では,モバイルアドホックネットワークのための効率と省電力を考慮した新しいルーティングプロトコルを考案し評価することを目的としている.アドホックネットワークのルーティングプロトコルの研究分野で問題となっていることは,ノード情報の伝達のために発生する制御パケットの数を極力減らすことやスケーラビリティを持ち合わせたプロトコルを開発すること,さらにノードの電力消費を極力削減するプロトコルを開発することである.このようなプロトコルを実現できることは,今後アドホックネットワークを用いたアプリケーションプログラムを開発する上で非常に重要なものであり,アドホックネットワークの発展に貢献できる意義のある研究であると考える. このような目的のもと今年度行ったことは,上述した問題を解決するために,できるだけ制御パケットの数を減らすことによりネットワーク性能を上げることやノードの電力消費を極力抑えてネットワークが長時間存続できるようにすることなどを実現するプロトコルの考案を主に行った.具体的には,従来手法で行っていた周辺ノードの情報を定期的に交換していた方法を改良し,ノードの移動時にのみノード情報の交換を行うことにより,制御パケットの削減を実現するプロトコルの考案を行った.さらに宛先ノードを探索する処理を経路情報の信頼度に応じて探索する方法を変えることにより,制御パケットの数を削減する方法を考案した.制御パケットの数を削減することにより,ノードの電力消費の削減も実現できると考えられる.考案プロトコルを評価するために実際にシミュレーションプログラムを開発し性能評価を行った結果,提案手法は従来手法であるZRPプロトコルやEZRPプロトコルより制御パケットの数を削減でき,遅延特性やスループット特性および省電力特性が優れていることを示した.
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