研究概要 |
本研究では,モバイルアドホックネットワークのための効率と省電力を考慮した新しいルーティングプロトコルを考案し評価することを目的としている.効率と省電力を実現するには,ノード情報を伝達する制御パケットの量を極力削減することが重要な課題となっている. このような目的のもと今年度は,21年度に考案したプロトコルの改良および改良プロトコルをシミュレーションにより評価した.また,プロトコルの基礎となる部分を実機に実装し評価実験を行った.さらに実機に実装したパケットの流れを可視化するためのシステムの開発を行った. プロトコルの改良では,昨年考案したプロトコルは,各ノードが定期的に自身の情報を伝達することをやめて,ノードが移動したときに自身の情報を他のノードに伝達することによって制御パケットの削減を図ってきた.しかし,どのタイミングで他のノードに自身の情報を伝達するかは課題になっていた.本年度はこのタイミングを,ノードの移動開始時,ノードの移動中,ノードが移動して停止したときの3つのタイミングでどのように性能に影響するかをシミュレーションにより調査した.その結果,ノードが停止したときに自身の情報を他のノードに伝達するのが一番性能改善に有効であることを確認した.これにより制御パケットの削減や消費電力の削減さらに伝送成功率やスループット特性などを改善することができた.このような評価指標を改善できたことは,アドホックネットワークのルーティングプロトコルの研究では,非常に重要なことであり意義のあることである. また,モバイルPCなどのモバイル端末を用いて,本プロトコルの基本的な部分を実装し実験を行った.その結果,本プロトコルは従来手法のZRPと比較して,制御パケット量を削減でき,伝送成功率やスループット特性が優れていることを示した.これによりシミュレーションと実機実験の両方で本プロトコルの有効性を検証した. さらに実機に実装したパケットの流れを可視化するシステムの開発も行い,実際にネットワーク上に流れるパケットを視覚的に確認した.
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