本研究の目的は、無線センサーネットワーク(WSN)のための新しい省電力化手法を開発することである。本研究では特に、検知されたイベント領域の形状理解がWSNにおける非常に重要な検討課題のひとつであるとの認識に立ち、形状検出処理に特化した、WSNのための新しい省電力化管理手法について研究を行っている。 本年度は、平成21年度の研究成果を発展させる形で以下のような具体的な成果を得た 1.無線センサーデバイス(SunSPOT)上への実装を改良し、動作速度や通信コストなどを詳細に評価した。開発にはNetbeansをIDEとするJava言語を用いている。実装の改良により、処理全体の速度は約70%向上した。 2.提案アルゴリズムの耐故障性について詳細に検討を行った。具体的には、無線センサーネットワークのための代表的な既存ルーティング手法を網羅的に調査し、それらの問題点を洗い出すとともに(研究成果、学会発表3)、形状認識処理に対する適性の可否について検討した。 3.センサーデバイスが検知した情報をネットワークの外部からシームレスに取得するためのプラットフォーム(基本方式の設計は平成21年度に完了)を改良し、各ユーザがセンサーコンテンツに対して適宜付与したタグ情報をもとに情報検索が行えるように方式全体を拡張した。これにより、各ユーザが興味をもつセンサーコンテンツの情報をほかのユーザと容易に共有できるようになり、システム全体の可用性が大幅に向上した。
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