平成22年度は、コンディションベースのパケット転送手法について研究を進めた。ITSアプリケーションのひとつである優先走行通知では、優先走行車両の走行経路上に位置する車両にその情報をあらかじめ通知する。車車間通信を用いて、このようなアプリケーションを実現する方法として、フラッディングやGeocastが考えられるが、不要な地理領域におけるパケット中継やパケット中継回数の増加により、パケット衝突が発生し、優先走行車両の指定した経路上に位置する車両への効率的な情報伝搬が難しい。 そこで本研究では、道路のセグメント化とコンディションベースのパケット転送を組み合わせたRoad-segment-based Data Disseminationを提案した。本提案手法では、走行予定経路を部分要素へ分割する道路セグメント化の概念を導入し、コンディションベースの中継を用いて、優先車両の走行予定経路に沿ったパケット中継を実現する。この際、道路セグメント単位で中継車両を限定することで冗長なパケット転送を抑制する。 提案のRoad-segment-based Data Disseminationを評価するために、シミュレーションプログラムを実装し、シミュレーション実験によって評価を行った。提案方式をフラッディングと比較し、総トラピック量と全送信パケットに占める指定経路を通過するパケットの比率の観点から、その有効性を確認した。
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