研究概要 |
インターネットは,その起源とされるARPANETが開発されて約40年経過し,現在では社会経済基盤を支える通信インフラとしてなくてはならない存在となっている.しかし,通常のPCとは異なる組込み機器や移動体環境など,インターネット設計当初では予想していなかった利用方法が登場し,その時の必要性から一貫性のない技術が次々と追加されてきた.また,その利用者も爆発的に増加し,一部の計算資源への過度なアクセス集中も問題となる.近い将来,計算機技術の中心がPCからユビキタスコンピューティングへ発展すると想定される状況において,クラウドコンピュータのコンセプトをベースに,主に組込み機器をターゲットとした新しいアーキテクチャとプロトコルからなる新世代ネットワークを目指した.特に,新世代インターネットに向けて光パスを前提としたIPアドレスを利用しないネットワークアーキテクチャであるIPスルーネットワークの検討,開発を実施した.また,米国IT企業や大学が中心となって実施している次世代インターネットと分散アプリケーションを行う実験的ネットワーク環境PlanetLabを利用し,アクセス集中時に動的に負荷を分散するネットワークアーキテクチャを開発し,実装・評価を行い,有効性を示した.世界的に主流となりつつあるクラウドコンピューティングにおいて,ユーザが複数の端末を用いてクラウドサービスを利用する際に,現在の構成では,柔軟なクラウドサービスの統合利用,複数端末の同時並行利用が実現困難いう問題を解決するためのフレームワークの開発も実施した.一方で,組込み環境における複雑なネットワークを前提とし,拡張現実感技術を利用し,組込み機器を効率的に制御する方法を開発し,特許を出願するとともに,発表論文はDICOMO2010野口賞を受賞した.
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