本研究は、ポスト・セマンティックグリッドを見据えて、オントロジーの管理技術や再利用のための柔軟なワークフローを開発するものである。 研究の初年度として2009年度はまず、来日したラトローブ大学ウェニー・ラハユ准教授とモナシュ大学デビッド・タニエール准教授、東北大学電気通信研究所の白鳥則郎教授と具体的な研究の進め方について討議した。研究協力者内林俊洋の協力の下、九州産業大学に4台の高性能PCを設置して、グリッド資源とサービスの組み合わせのプロトタイプテストベッドを構築し、動作確認を行った。 次に、そのテストベッドにおいて、ペトリネットベースのサブオントロジー抽出機構ワークフローを開発し、サブオントロジー抽出と2段階のサブオントロジー最適化スキーマを使用して、サブオントロジーの作成を行うアプリケーションを作成し、検証実験を行った。さらに、エンドユーザにサブオントロジー抽出を視覚的に表示するインターフェイスを開発し、利便性の向上を図った。以上のものをサブオントロジー抽出プロトタイプとしてセマンティックグリッド環境で実行した。予備実験、実行においては実際に米国において使用されているUMLSSN(Unified Medical Language System Semantic Network)オントロジー・データを利用した。 本年度の研究によって、本研究の基本的方針が確定し、セマンティックグリッド環境でのテストベットが準備できた。そのテストベッドにおいて、サブオントロジー抽出と最適化のためのアプリケーションの検証を行っただけでなく、ユーザに対して視覚的なフロントエンドツールを提供することができた。
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