本研究は、ポスト・セマンティックグリッドを見据えて、オントロジーの管理技術や再利用のための柔軟なワークフローを開発するものである。 九州産業大学に構築したセマンティックグリッド・プロトタイプ環境を使って、セマンティックグリッドサービス上にサブオントロジーテーラリングを実装し検証を行った。遠隔地に分散したオントロジーをグリッドネットワークでつなぎサブオントロジーを抽出して転送することで、帯域の負荷を軽減しつつ効率的にオントロジーを利用した検索が可能となる。 さらに、広域の環境でのセマンティック・グリッドサービスに向けて、複数の仮想組織(Virtual Organization)を使ったサブオントロジー抽出・テーラリングを実装し、良好な結果を得た。 また、グリッド資源の選択に際して、これまでノード情報はインデックス・サービスを使って収集されていたが、資源のダイナミックな変化に対応するため、マルチエージェントとオントロジー技術を用い、刻々と変化するグリッド資源に関する情報を収集する方法を考案した。 理論的側面としては、セマンティック・グリッド環境におけるオントロジーの更新について、学術雑誌に成果を公表した。オントロジー1から抽出されたサブセット1を、オントロジー2における概念に置き換える更新方法を詳説し、結果として生成したオントロジー2の有効性を報告した。 以上、オントロジーの再利用・更新について理論上の成果を挙げ、広域で活用できるセマンティック・グリッドサービスのために、様々な方法を試みた。
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