研究概要 |
本研究は,これまでの「ブラインド信号分離のための擬似逆行列補題とそれを用いた適応型超指数法」に関する理論的な研究成果をベースにして, (1)ブロックベースへの拡張による適応型超指数法の高速化 (2)DSPリアルタイムシミュレータを用いたMIMO通信実験システムの構築 (3)適応型超指数法の実環境(MIMO通信実験システム)への実装と評価および改良 を行うことにより,第5世代(G5)移動通信で採用されるであろうMIMO(Multi-Input Multi-Output)通信におけるブラインド信号分離技術の確立を目的とするものである. このうち,平成21年度は適応型超指数法の高速化とMIMO通信実験システムの構築を行った. (1)適応型超指数法の高速化 各時刻の観測信号に対して処理を行うサンプルベースから,ある時間分の観測信号をまとめて処理するブロックベースへの拡張を行った.このブロックベースの擬似逆行列補題を用いた適応型超指数法のアルゴリズムを考案し,コンピュータシミュレーションによりその有効性を検証した. (2)MIMO通信実験システムの構築 アジレント・テクノロジー(株)のオシロスコープ「DSO7014A」およびベクトル信号解析ソフトウェア「89601A」を導入することにより,DSPリアルタイムシミュレータを用いたMIMO通信の模擬実装実験と解析を行う「MIMO通信実験システム」を構築した.これにより,通信信号をDSPリアルタイムシミュレータ内で混合させ,適応型超指数法アルゴリズムにより実時間で分離し,分離結果を解析・評価することが可能となった.
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