研究概要 |
本研究は,これまでの「ブラインド信号分離のための擬似逆行列補題とそれを用いた適応型超指数法」に関する理論的な研究成果をベースにして, (1)ブロックベースへの拡張による適応型超指数法の高速化 (2)DSPリアルタイムシミュレータを用いたMIMO通信実験システムの構築 (3)適応型超指数法の実環境(MIMO通信実験システム)への実装と評価および改良 を行うことにより,第5世代(G5)移動通信で採用されるであろうMIMO( Multi-Input Multi-Output)通信におけるブラインド信号分離技術の確立を目的とするものである. このうち,平成22年度は適応型超指数法高速化の成果発表,およびDSPリアルタイムシミュレータを用いたMIMO通信の模擬実装実験と解析を行う「MIMO通信実験システム」上に適応型超指数法の実装を行った. (1)適応型超指数法高速化の成果発表 平成21年度の適応型超指数法高速化に係わる成果を,IEEE ISCAS 2010 (Paris, France)で口頭発表するとともにIEEE Transactions on Circuits and Systems-I等の論文に発表した. (2)MIMO通信実験システムへの適応型超指数法の実装 平成21年度に構築した「MIMO通信実験システム」上で,高速化した適応型超指数法を用いたアルゴリズムをSimulinkで記述して実行できるようにした.しかし,復元分離行列の推定と観測信号からの原信号の復元分離の切り替え方法およびSimulinkの標準Blocksetにない機能の実現に問題が残ったので,平成23年度に引き続き取り組む予定である.
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