研究概要 |
本年度は,既開発の基本システムをベースとして,地形図から高分解能DEMを自動作成するための実用化システムの開発を目指して,以下の4項目に重点を置いて研究を進めた。 (1)多数の適用実験を踏まえて,基本システムの各種処理アルゴリズムの性能改善を行う。 (2)作成した小規模DEMを張り合わせて,1つの統合DEMにまとめる技法の開発を行う。 (3)DEMから各種地形特徴を効率的に抽出するための基本処理アルゴリズムの開発を行う。 (4)システムとしての統合化を行い,ユーザ・フレンドリーなトータルシステムとしての実現を図る。 まず(1)については,基本システムを多数の地形図に適用して問題点を洗い出した結果,生成DEM表面に残存する不自然な段差,瘤,凹みなどを解消する整形後処理法の改善が必要となっており,具体的に2つの処理手法(拡張型Grimson正則化法,選択的平滑化法)の改良を行っている。続けて,各種の適用実験を多角的に実施しながら,実用化システムを実現するための各種処理アルゴリズムの性能改善を行う予定である。 次に(2)については,市販の地形図では図面の境界同士で若干のずれを発生しており,その対策が小規模DEMを張り合わせて統合DEMにまとめる上での検討課題となっている。そこで,境界部分において両者をDEM上でモーフィング的に融合する手法を検討しているが,システムとしての実現化作業はまだ未着手である。 また(3)については,地形の斜度と方位,流域部,尾根部,谷部などを地形図とDEMから正確に決定することが必要となるが,これらの各種地形特徴を効率的に抽出するために,ウェーブレット変換を用いた輪郭線抽出処理アルゴリズム,差分チェインコードの統計的性質を利用した輪郭線画像の効率的な圧縮符号化法,などの開発を行った。 (4)については,グラフィック・ユーザ・インターフェイス(GUI)を駆使したユーザ・フレンドリーな処理システムとしての実現化作業を継続中である。また,既存の地理情報システムとのインターフェイスをはじめとする各種ユーティリティ機能を充実する作業も継続中である。
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