本研究では、自然物や自然現象のような複雑で微細な形状と動きを伴う対象物に対して、対象物を周囲から撮影する複数の内向きカメラ(対象物カメラ)と対象物付近から周囲を見渡す全周背景を撮影する外向きカメラ(背景カメラ)の2系統のカメラ群を利用し、対象物を自由な視点位置から見た自由視点映像を高品質かつリアルタイムで合成する新たなビデオベースCG技術を開発する。 平成22年度は、本研究で実施を計画している [処理1]対象物フレーム画像ごとの対象物領域の抽出と対象物RGBα画像の生成 [処理2]対象物RGBα画像群からの自由視点フレーム画像の生成のうち、それぞれ、下記の内容を実施した。 [処理1]については、平成21年度から開発中の複数カメラの撮影映像を合成して全周背景パノラマ映像を生成する技術について、より高精度かつ高速な手法を検討し、プログラム実装と実験を行った。カメラの台数の変更による合成映像の品質と生成速度を評価し、対象物フレーム画像から対象物領域の抽出が可能な精度で全周背景パノラマ映像がリアルタイムで生成できるかを検討した。 [処理2]については、複数LDIを利用したα値付き点群の効率的なスプラッティング法の開発を平成21年度から継続し、高品質化とリアルタイム化の実現を目指した改善案を検討した。また、自由視点フレーム画像の品質向上を目的とした、撮影ビデオ映像と仮想CG映像の融合手法として、平成21年度から開発中のテクスチャ合成を用いた複数カメラ画像からの高品質ボクセルモデルの構築法についても、品質と処理速度の面から改善案を検討し、プログラム実装と実験を行った。さらに、複数カメラの校正法についても検討し、構成されたカメラ群によりボクセル視体積モデルを生成するプログラム実装と実験を行った。また、複数カメラの撮影映像からビジュアルハルを構成し、グラフィックライブラリを利用して高速に自由視点映像を表示する手法を開発した。
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