研究概要 |
図書館の子ども室にブラウズリーダと呼ぶ絵本を探し出して読むためのソフトウェアを組み込んだ読書机を設置し,「子どものための新読書環境」を実現することを目指して以下のような研究を行った。 (1) ブラウズリーダの改良 改良版のブラウズリーダでは,電子絵本を冊子体絵本のように扱えるインタフェースとした。インタフェースデザインのコンセプトは,ブラウズリーダ上でも,「多数の電子絵本を通常の図書館でのように線形に並べて扱う」ことと,「各電子絵本を冊子体絵本のように実体化して扱う」ことである。前者については,絵本ビユーという概念を導入して電子絵本を冊子体絵本のように見せかけ,扱う絵本が数千冊でもそれらのビユーを電子絵本棚に並べて扱えるようにした。電子絵本棚の探索はブラウジングを主体とするが,これを効果的に行うズーミングアルゴリズムも定式化した。後者については,当該研究者らが開発してきたコラボトレイの技術を利用し,どのような電子絵本でも(例えばフラッシュ技術を用いたブックリーダで読むWeb上の電子絵本でも),ディスプレイ装置上で読みやすい方向に向けられたり単純なページめくりで読めたりできるようにした。また,グループ読書を促進するため,ブラウジング操作と読書操作を自由に切り替えられるようにした。 (2) 電子テーブルの試用 改良版ブラウズリーダを組み込んだ電子テーブルを出版社や図書館の関係者に使用してもらい意見を聴取した。 (3) 著作権への対応 どのような電子絵本でもページめくり操作で読めるようにするには,著作権を考慮した対応が要る。この点について,表面上は,子どもたちは電子絵本を冊子体絵本と同じように扱うが,実際には,各電子絵本に付随させられているブックリーダを操作していることになるような仕組みを,コラボトレイ技術を利用して開発した。著作権の委譲を考慮した電子絵本の製作も試みた。
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