研究概要 |
「新読書環境」は,ブラウズリーダを組み込んだPCを図書館の子ども室の読書机上に置くことで実現される。ここでは,子どもたちはグループで,(ウェブを介して読める)ウェブ絵本と冊子体絵本との違いを気にせずブラウジング主体で望むものを探し出し読める。昨年までに幼児でもブラウズリーダを使うことを確かめた。本年度は次の事柄に重点を置き研究を進めた。 (1)著作権保護を考慮したブラウズリーダの改良 ウェブ絵本と冊子体絵本との違いを吸収するのは,統一化ビュー機構(市場のビューア等に表示された種々のウェブ絵本を,冊子体絵本のように扱えるようにする機構)である。各絵本の著作権保護への対応を考慮して定式化した。ブラウズリーダ上に表紙・ページ画像を表示したりそれらをめくったりする際に,著作権保護に抵触する可能性が生まれる。統一化ビュー機構では,画像が小さい間はディフォルメしたものを示すが,拡大操作がなされると,その都度対応アドレス先に繋ぎ,そこでの画像を冊子体絵本のような見え方にトリミングして表示するようにした。ページめくりに関して,めくり操作を対応アドレス先で要求されているアイコンのクリック操作等に変換するようにした。 (2)ブラウズリーダの各種図書館での試用と評価 改良版ブラウズリーダを組み込んだPCを,大分大学学術情報拠点(図書館)児童図書コーナー,別府大学附属幼稚園子ども室および大分県立図書館子ども室に設置した。幼稚園子ども室での試用では,園児が年少,年中,年長組かに係わらず,ウェブ絵本と冊子体絵本を区別せずに読むことを確かめた。保育士を被験者とした実験でも統一化ビュー機構の有効性を確かめた。県立図書館子ども室では,司書の手助けがなくとも,子どもたちが恒常的に(現在5ヶ月目)利用していることを確かめ,新読書環境が受け入れられているとの感触を得た。利用状況の詳細な検討については,次年度の課題としたい。
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