研究概要 |
本研究では,画像上のぼけと特徴点の幾何学的情報を利用したキャリブレーションを行い,得られたモデルパラメータに基づきレンズによるぼけを含んだ画像を生成する手法に関する研究を行った.本研究の最終年度となる今年度は,これまでの研究成果に基づき以下の2点について検討を行った. 1.画像のぼけと幾何学的性質を利用したキャリブレーション手法の開発 従来手法では,キャリブレーションに用いる各特徴点でのぼけ幅の計測において,画像の全スキャンライン上でぼけのモデル式と画像の明度値との非線形最適化によるフィッティングを行っていたため,非常に長い計算時間を必要としていた.そこで,この処理に画像の空間フィルタリングの手法を適用することを検討した.撮影画像に非線形フィルタであるメディアンフィルタを適用し,閾値処理にぼけ幅を求めることで従来の1/30の時間で処理が可能となった.しかしながら,手法の違いによる精度比較やフィルタサイズなどの詳細な検討は行っていないため,これらは今後の課題である. 2.実カメラの焦点ぼけを忠実に再現した画像を生成する手法の開発 通常のCG画像の生成に使用されるピンホールカメラモデルとは異なるカメラモデルによる,高速な画像生成に関する検討を行った.透視投影や平行投影については,Zバッファ法を用いることにより高速に画像を生成できるが,その他の投影法については,Zバッファ法を用いることができなかった.今回の研究では,頂点シェーダを用いて物体を変形することで,他の投影法でもZバッファ法を用いて画像を作成することが可能となった.Zバッファ法を用いたぼけ画像生成にこの研究成果を応用することが今後の課題である.
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