研究概要 |
本研究は、特別なメガネをかけることなく水平・垂直方向に視差を生じる立体画像表示方式であるインテグラルフォトグラフィの一種で、既製のフライアイレンズとフラットパネルディスプレイ(FPD)を自由に組み合わせられるように我々が改良した「拡張フラクショナルビュー方式(EFV方式)」の立体画像のネット配信を行うことを目標としている。そのコンテンツである立体表示用画像の作成法としてはCGによる方法と実写による方法がある。CGによる方法については、前年度に、デジタルフォトフレームにCGアニメーションを表示すること迄はできていたが、本年度は、より解像度が高いノートPCのLCDを用いることで、画質を向上させることができたので、これをSID2010で発表した。さらに、CGのレンダリングを、前景のキャラクタと背景とを別々に行い、後からそれらを合成することにより、全体的なレンダリング時間を短縮するクロマキー方式を開発し、それをSIGGRAPH 2010で発表した。また従来はCG制作に有償のアプリケーションを使用していたが、それでは学生が自宅で自習するのに不都合なことがあるので、フリーソフトでありながら高機能なBlenderを使用できるようにし,それをICGG2010で発表した。一方、ネット配信の形態にはオンデマンド配信とライブ配信がある。撮像系については、民生用HDデジタルビデオカメラの前に大型凸レンズと8×8画素のフライアイレンズを置いて撮影する方式を構築済みであったが、EFV方式のIP画像の合成処理に時間がかかるため実時間ではできず、このためオンデマンド配信には適用可能でもライブ配信には適用できなかった。そこで当該年度は、合成処理プログラムを見直して処理速度を向上させることで実時間処理を可能とし、その成果をSIGGRAPH ASIAで発表した。さらに、前年度に、紙の良さを併せ持つ書き換え可能なディスプレイである電子ペーパーでEFV方式で立体表示する方式を開発したが、その場合の画像はモノクロであった。当該年度には、カラー電子ペーパーを用いることで、カラーの立体表示が可能となったので、その成果をNIP26で発表した。
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