研究概要 |
(1)超高解像度ホログラムの作成 本年度は,まず金属的な質感を出すための鏡面レンダリング技術がほぼ完成した.角張ったフラットなポリゴン面だけではなく,テッセレーションを行うことなく同じポリゴン数からスムースな鏡面性鏡面を再生するアルゴリズムを完成している.テッセレーションが不要なため,計算時間も拡散面と変わらず,従来とほぼ同じ時間でレンダリングができる. また,デジタイズドホログラフィ(デジタル化ホログラフィ)の技術もほぼ完成したと言えよう.これは,通常の古典的なホログラフィと異なり,イメージセンサを用いてデジタル的に干渉縞を記録し,それを超高解像度の計算機合成ホログラムとして再生する技術である.イメージセンサの解像度や物理的分解能は古典的ホログラフィで用いられる感光性材料より何桁も低いため,球面波を参照光として用いるフーリエ型ホログラフィの構成で合成開口を行うことにより,超高解像度計算機合成ホログラムで必要なレベルの分解能と解像度を達成することができた.このようにしてデジタル的に記録した物体光波をポリゴンメッシュの仮想物体やデジタル画像からなる架空の3Dシーンに埋め込み,80億ピクセル規模のホログラムを完成させることができた.このホログラムは,古典的なホログラムと同様に人の感じるすべての生理的立体感を刺激するため,通常の3D画像技術で問題になる輻輳調節矛盾等は一切生じず,深い奥行き感のある自然な3次元像を再生する.一方,このホログラムはデジタル画像であるため,古典的なホログラフィでは困難なシーンのデジタル編集や,デジタル媒体への保存・伝送等が可能である. (2)リアルタイム電子ホログラフィの再生 電子的表示デバイスで不足する解像度を高フレームレートデバイスを用いて補うための光源スイッチング方式時分割ディスプレイを試作し,これにより再生像を広視域化できることを確認した.
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