研究概要 |
本研究では,顧客であるユーザに対して,能動的に興味喚起と情報提示を行うことができる実世界アウェアネスを持つショップキャラクタシステムの研究に取り組む.本システムでは,パブリック空間においてユーザの実世界情報の認識を行い,一定距離内の複数ユーザに対して存在感を感じさせるバーチャルヒューマンが能動的に興味喚起と商品情報の説明を行う.ショップキャラクタシステムが実世界の状況を認識して動作することで,いわゆる街頭における"実演販売"や"客寄せ"のようにユーザに興味とショップキャラクタに対する存在感を感じて近づいてきてもらい,キャラクタによる適応的な商品の説明と体験をしてもらうというプロセスが特徴的な点となっている. 平成21年度は,顧客状態に適応したショップキャラクタのアイコンタクト制御及び接客行動制御に取り組んだ.ユーザ前方に位置するスクリーン上部に設置したカメラのカメラ座標系と実空間3次元位置のキャリブレーションを行い,カメラ画像中のユーザの顔領域の重心位置からユーザの3次元位置を推定し,ユーザの位置を近距離,中距離,遠距離の3つの距離領域に分類した.各距離領域におけるユーザの状態をそれぞれ,説明対象者,説明候補者,潜在的顧客と定義し,各状態における接客行動対象としての優先度に従いカメラ画像から視覚特徴マップを作成し,ショップキャラクタの注視点を求めた.求めた注視点に従い胴体・頭部・眼球の遷移制御モデルを用いてアイコンタクト制御を行った. また,各ユーザ状態に対応したショップキャラクタの接客行動を分類し制御することで,ユーザ状態に適した振る舞いを可能にした.実店員の販促行動を基に各ユーザ状態にショップキャラクタの接客行動を分類し,行動制御機構を構築した.
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