本研究では、近い将来のデジタルサイネージの一形態として、ショッピングセンタなどで商品説明や購買活動を支援するための環境知覚機能を持つインタラクティブキャラクタの構築技術を提案した。本研究期間では、ユーザ体験のモデリングのために、秋葉原や渋谷などの実際の店舗の配置や顧客の行動観察を行い、どのようなサービス形態がありえるかどうかを検討した。また、個々のサービス内容を分析して、視覚機能とキャラクタの反応の対応付けを行った。次に、ユーザ体験モデルに基づいて、店員キャラクタの望ましい外見について分析を行い表現要素を抽出した。 システムの基本機能の拡張としては、ユーザが店舗において、発話に合わせて商品を手に持ってみたり、動かしたりする動作を検出して、発話を行う機能を実現した。これにより、商品を手に持った後で、戻さない場合は戻すように促したりすることもできる。このような機能は、店内の顧客動線を制御したり、ゴミの分別を促すなど、様々な行動誘発に利用できる可能性がある。また、ユーザが期待通りの行動を行った場合に微笑んだり、違う動作を行った場合に機嫌が悪くなるなどの感情的反応の利用についても店舗の協力を得て予備実験を進めた。 本研究で実現したキャラクタ基盤システムは、第2言語学習などの学習コンテンツの制作にも活用できることを確認した。また、店舗からの意見に基づいて、これまでは自律動作のみであったが、キャラクタが返答できない質問があった場合、サービスセンターなどにつないで返答することができる機能について簡易プロトタイプを構築して評価を行った。
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