研究課題
本研究では、身体を使ったインタラクティブな体験を通して数理的な概念を理解するための展示空間をデザインすることを目的とし、空間デザインとセンサ技術を開発する。本年度は7月~11月に21_21DESIGN SIGHTにおいて「これも自分と認めざるをえない」展を開催し、佐藤がディレクション、桐山が展示技術の開発を行った。この展示は現代社会で個人の属性がどう扱われているか、そもそも属性とは何かということを問うことをテーマとして複数の展示を開発した。その中で「指紋の池」は自分の指紋をスキャンして広いディスプレイの中に放流し、もう一度スキャンすると自分の指紋だけが他の指紋の群れから離れて自分の指先に戻ってくるという展示で、多数の指紋の中から自分の指紋だけが数学的な処理によって検索されて帰ってくる過程を視覚的に見せた。また「休憩所」は、椅子に隣りあって座る人々の間を二等分線で区切ってボロノイ図をリアルタイムで提示する展示であり、隣の人と一定の距離を保って座るという身体的な動作を幾何学の図形によって目に見える形に示した。また「属性のゲート」では、顔認識技術によって来場者を男女、年齢、表情でカテゴリーに3段階で分ける展示を制作し、ゲートを通ることで分類ということを体験できるようにした。これらの展示を通して体験者の行動データを記録しており、来年度にかけて、空間やセンサからの情報が人間の行動にどのように影響するかを分析する準備を合わせて行った。
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美術手帖
巻: Vol.62, No.944 ページ: 9-100