研究概要 |
本研究は,空間への自然な3D像の描画により,実際と同様な高度なコミュニケーション環境を実現するための重要なキー技術を確立することを目的とし,空間3D像の描画を高速な液晶可変焦点レンズをキーデバイスとして用いて行うことを特徴とする.今年度は,可変焦点レンズの特性改善を進めるため,1.駆動装置の改良方法の考案,2.歪み特性の定式化,3.高速2D表示装置の予備検討を行った.また,情報量増加の抑制のために,4.積層枚数を減らした場合における観察位置の制限に関して予備検討を進めた. 1.可変焦点レンズの駆動装置の改良を試みた.可変焦点レンズは,その駆動電圧に低周波と高周波を必要とする.しかしながら,可変焦点レンズはキャパシタ構造を有するため,高周波印加時に大きな無効電流が流れ,駆動装置の限界を越えることが危惧された.また,低周波も交互に印加されるため,単純な共振回路では対応できないことが判明した.そこで,本方式に適用可能な駆動装置の新たな改良方法を考案した. 2.結像特性として,昨年の結果を用いて液晶可変焦点レンズの歪みの定式化を行った.その結果,液晶可変焦点レンズによる樽型歪みの中心からの距離の2次式で定式化可能なことが分かった.但し,可変焦点レンズの歪曲収差は光軸に対して回転対称ではないことから,水平,垂直方に分けた定式化を行うことにより,良好な定式化ができることが分かった. 3.高速2D表示装置として,LEDを光源に用いたプロジェクターアレイの予備検討を開始した.LEDを光源にすることにより,プロジェクタ光学系のコンパクト化と切り替え速度の高速化を達成できる見通しを得た. 4.観察位置の制限に関して,静止画を多数枚積層した心理評価実験系を用いて積層枚数と制限範囲の把握に関する検討を進めている.輝度のブレンディングにより,観察位置を拡大できる見通しを得た.
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