ディスプレイの動き、スクロール方法、眼球運動、および、身体運動等をコントロールして、従来報告されていなかった知覚現象の確認を行うことを目的として研究を開始した。まず、これらは、多くの条件が重なっているので、単純に実験を行うと組み合わせの爆発を起こす。ここでは、予備実験において、身体の能動的な運動とディスプレイの運動、スクロール方法を組み合わせた際に情報受容領域の拡大が見込めることを発見しているので、その範囲や特性等の概要を明確化することからスタートし、実験を継続した。眼球運動測定装置を利用してより詳細に測定し、身体反射に関連して起こる眼球運動とディスプレイの視認性に対応関係があると推定された。データの信頼性を得るために、現在もデータの追加取得中である。 また、今後実験を行うための主要な機器である視覚刺激作成装置ViSaGe(PCI express版)を購入した。現在は、本格的実験を開始するため、装置を調整中であり、予備実験などを行っている。 調査研究では、2009年7月に日本視覚学会夏季大会に出席し、最近の研究動向の調査や人間の色知覚に関する研究発表などを行った。また、2009年9月に名古屋大にて3軸回転が可能な稼動椅子を用いた受動的動作中のディスプレイの情報受容特性の予備実験を実施した。 2010年3月には、視覚心理、特に立体視や運動視の分野で著名な研究者であるProf. Hiroshi Ono(カナダ、ヨーク大学)と、試作した実験装置を用いた実験方法の検討や、視覚情報受容特性における新しい情報提示方式について本学において議論を交わした。
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